テーベの東

このゲームは、なかなかに、切ない。

どれだけ慎重なスケジュールを組もうと、どれだけ他のプレイヤーを先んじようと、それでも、それでも、ゴッドハンドには敵わない。そんな悲しさがある。


・・・・


「テーベの東」は、遺跡発掘をテーマにしたゲームで、プレイヤーは専門知識や助手、自動車やスコップの力を借りながら、眠れる遺跡の発掘を競います。

面白いのが、このゲームにおけるプレイヤーのリソースは全て「時間」に集約されること。
自分のいる位置からの移動、目的の場所での行動(必要なアイテムの獲得、あるいはそれを利用しての発掘)が全て週単位で積み立てされ、2年間の間にどれだけ得点を稼ぐことができたかを競います。なるべく効率よく時間を使い、各種アイテムを収集し、いざ発掘の時にはどれだけの週を発掘にあてるかを慎重に見極めねばなりません。
各プレイヤーの手番は、常に「時間マーカーの経過時間が短い人」から優先になっており、細かい時間の使い方をすれば、何回も手番が回る仕組みになっています。一方、効果の大きい行動は何週も時間がかかります。

と、まあこう書くと、一種のマネージメントゲームの様に見えるでしょう。その側面も確かにあります。

しかし、なんといってもこのゲームの主役は「発掘」です。

そして、この発掘の仕組みが実に切ない仕組みになっているのです。


各プレイヤーは、遺跡の発掘を試みることを決めたなら、まずその場所に(何週かかけて)移動し、発掘にかける週を決めます。
その時持っている「知識」と、「何週かけるか」によって、発掘品の入った袋に手をつっこんで、何枚チットを引けるかが決まります。
この時、何週かけるか?は結果が出る前に決めなければなりません。スカばかりだといって延長は出来ないし、いきなり良いものを引けたとしても、中断することもできません。

で。

この発掘品の袋ですが。
半数以上が「スカ」です。
正確に言うと、14枚が当たり、1枚がまあ当たり、16枚が「スカ」。

さらに。
引いたうち、当たりのチットは引いたプレイヤーが確保しますが、「スカ」は袋に戻します
つまり、発掘が進めば進むほど、スカを引く確率が大きくなるのです。

なるべく早く、発掘に着手したい。他人の後ではスカの確率が大きくなる。
しかし、十分な知識を得る前では週をかける効率が悪すぎる。

かくして、いつ発掘に手をかけるか。知識をいかに効率よく収集するか。そこにこのゲームの運用の鍵があります。



・・・・でも、3枚引いて全部当たりを引くとか、そういうゴッドハンドには勝てないのよね・・・・お前ゼッタイ埋めといただろ・・・・



このゲーム、単なる運ゲーとみなしてしまうことも十分に可能です。そのくらい、最後の発掘の運要素はでかい。
しかし、何故か僕は、このゲームを運のみのゲームと片付けてしまうことが出来ないのです。
自分の運の悪さを見越して闘う手段が、ゲーム上のシステムとして確立されている。
わずか3枚の引きに賭けてもいいし、8枚引けるようになるまで準備を整えてもいい。
最後のチャンスで1週のみの発掘!なんて最後まで逆転できるかも?のお楽しみもちょい残る。

というわけで、このゲーム、けっこうスキかもしれません。ええ。



#一回、Queen版になる前のものを、遊ぶ機会がありました。その時のものより、更に遊びやすく面白くなっています。