劇団☆新感線「朧の森に棲む鬼」@新橋演舞場

 誰しもやはり、悪役に徹してみたい、悪の欲望の命じるままに生きてみたい。そんな心があったりするのだろうか。

 僕自身にそれがあるかどうかはともかく、悪役を演じてみたい、ってのはあるなあ。


 今回の芝居では、ひたすらに悪の道にまい進する男を市川染五郎が熱演。
 三人の魔女にそそのかされ、悪に身を落とし王になりあがる男の姿は前年の「メタル・マクベス」にても見てきた。マクベスが後半一杯、孤独にさいなまれ心を病んでいく、いわば「王になってしまった小悪党」の悲劇なのに対して。
 今回のライはひたすらに、最後の瞬間まで、後悔などなく。その姿はいっそ清清しく、だからこそ3人がかりの太刀回りをもってして打倒されねばならなかった!

 男なら、咲かせて見せたい、悪の華。なのか。


 個人的には、「人殺しの目を持つ男」には、も、ちょい粘って欲しかったところ?