劇団BOOGIE☆WOOGIE「海と風の神話」@下北沢 北沢タウンホール

 む、むむ。どう言おう。

 途中の「酒」とか「二人羽織」とかは、まあ、遊びとして割り切ってもいい。お子様にも受けてたし。

 やはり、脚本の練りこみ不足が特に目に付いた。
 例えばね、月の引力に引かれるオリハルコン、一応重要なキーアイテムで、リュウもその秘密が行動原理なんだけど・・・種明かしとしてさらーっと「この船全体がオリハルコンでできてるんだ!」まあそれはいいんだけど、あんたらその船に乗って、アティラス来たンだよね? どこでどうやってその船作ったの???
 とかまあ、突っ込みたいところイロイロ。

 そういう伏線処理だけでなく。去る者たちと残る者たちの芝居なんだけど、それぞれの因縁が弱くてぐっと来ない。
 上田郁代の演じる「姫」が、無邪気な残酷さを表現できていただけに、もったいない。
 そう、全般的に、もったいない芝居。



 では、いつもの誰も読んでない「田中サンならこーする」の巻。

 まず、最初の嵐のシーン、ちょお長いンで、半分ぐらいにカット。
 船が空飛ぶとかの描写はカット。その設定なし。

 で、本編では。
 レーンのキャラがどーしても弱い、姫のよりどころになれる感じが全然しないンで、月並みだけど、熱血入った誠実キャラにチェンジ。
 アティラス王国の沿岸警備をしているんだけど、今日も征服した周辺の国々からの難民の受け入れがメインの仕事になっている。
(という描写で、アティラス王国が強い、周辺を次々征服するぐらい強い、というバックを強調)
 難民の中に、亡国の騎士であるマークたちが、一発逆転を狙って紛れている。
 彼らは王宮まで忍び込んで姫を狙うんだけど、セルジたち陸軍に見つかって阻まれる。そのシーンで、アティラスの強さを描写。普通の人間では、アティラス人には勝てない。
(というのは、月から堕ちてきた大地であるアティラス大陸は、実は巨大なオリハルコンの塊で、最初にたどり着いた「船」の一党、およびその後アティラスで生まれ育った者たちは、オリハルコンから放射される力の影響でめちゃめちゃ強いのだ。そんな設定に)
 姫はオリハルコンの力の流れを制御できるので、逆にオリハルコンの力の影響をたっぷり浴びているアティラス人を意のままに操ることができ、誰も逆らえないのだ!
 それでも立ち向かうマーク、傍若無人な姫の行動を唯一いさめようとするレーン。その二人を、姫がちょっと気に入る。そんな感じで。
 姫の行動の基本ラインとしては、全てのものを手に入れる、手に入らないものは壊してしまえ。なんでかっていうと、幼い頃、自分の故国を滅ぼされて全てを失った反動なのね。ここは原作同様。でもそこんとこ、もっと派手に。
 世界各地から伝令が来て、
「○○王国、降伏勧告に従いません!」
「ならいいわ、全員殺しなさい、その方が幸せなんでしょう」
 とかさらーっとやってほしい。

 このぐらいアティラスの力と、トップにいる姫の存在を世界に対して「ヤバイ」という印象を盛り上げてやらないと、アティラスを海に沈めようとする月の意思が引き立たん、説得力が少ないですよ。うん。